おりおりに 出逢った      「すきなもの」を      縦横無尽に ご紹介
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天の泉のしづく







旧暦霜月の朔の日の夕暮れ

燃えるような太平洋の水平線上に

輝く宵の明星が

とても印象的でした

(写真では 上空の中央よりやや左側にぼんやりと映っています)



宵の明星が一番明るくなるのは12月7日とか

これから数日は 三日月と並ぶ姿が楽しめそうです



現在 宵の明星である金星は

来年の1月11日に地球を追い抜いて

明けの明星へと変わっていきます



霜月の異名の一つが 天泉

その由来は知りませんが

天泉のはじまりの日に見た輝く星は

天の泉からのひとしづくのように思えました



コペルニクスの発見によって

天と地

の概念から

宇宙のなかの地球

という認識に変わったにも関わらず、

人間の意識は

まだまだ天と地という枠組みの中にあります



天の泉

という

天の始まり

をイメージする名を持つこの月に、

二元論的な枠組みから

そろそろ

自由になれるといいですね










【補記】
(2013/12/04)


詳しい方のなかには

コペルニクスが“地動説”を発表した本のタイトルが

『天球の回転について』

“De revolutionibus orbium coelestium”

であり

そこに「天」の文字が記されていることを

指摘される方がいらっしゃるかもしれません


しかし

『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』の記述によれば

コペルニクスがつけたタイトルは

ルター派の宣教師によって変更され

現在伝えられているものになっているようです




(コペルニクスは)地球を「天体」のひとつにすることにより、

知ることのできる月下の世界と、

けっして知ることのできないとされた月より上の天界(caelum)を分ける

二世界論を拒否し、

知ることのできるひとつの宇宙(mundus)

という世界像を作ったのである。
コペルニクスは自著のタイトルを、

『宇宙の諸球体の回転について(De revolutionibus orbium mundi)』

とするつもりだった。(略)

 ところが、彼の知らぬところで、

出版のための作業にかかわったルター派の宣教師アンドレアス・オジアンダーにより、

著書のタイトルを

『天の諸球体の回転について(De revolutionibus orbium coelestium)』

に変更されてしまう。

「宇宙」だろうが「天」だろうが、

大したちがいはないだろうと思うかもしれない。

事実、これまで科学史の研究者のあいだでも、

このタイトルの違いは瑣末なこととみなされがちだったようである。

しかし、現代ドイツの哲学者ハンス・ブルーメンベルグは、

大著『コペルニクス的宇宙の生成』の中で、この点を詳しく検討し、

タイトルの変更はけっして小さなことではないと論じた。

コペルニクスは、宇宙を統一的に理解することは可能であるし、

それを自分は成し遂げたとはっきり宣言したのにもかかわらず、

オジアンダーは作品の顔ともいうべきタイトルに二世界論を掲げることにより、

コペルニクスのその宣言を

すでにタイトルにおいて否定したのである、と。


(P.44~P.45)