おりおりに 出逢った      「すきなもの」を      縦横無尽に ご紹介
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後の月


それは ある城下町での 昨夜のこと


日中のイベントでご一緒したご夫妻の車に乗せていただき
懇親会の会場へ向かっていたところ…

間違って入り込んだ道は
お堀に囲まれた城内へと続いており
私たちは思いがけず
品よくライトアップされた
「異国のような日本の風景」に出逢ったのでした



  自然石の形をそのまま活かして丁寧に積み上げた石垣と樹々の陰影
  暖色の灯にゆれる 滑らかな水面
  透明な空気感と静けさ
  のびやかな広がりを持った 城趾一帯の空間
  見上げると ちょうど雲の切れ間から 満月には少し足りない月が姿を現しました



それは できすぎたほどの 完璧な 風景

まるで別世界に足を踏み入れたかのようです



「日本じゃないみたい…」
とつぶやく私に
ご主人が頷きながら
「でも日本にしかない風景だよね」
と言い
「こんなきれいなお城は 今まで見たことがない」
と感嘆されました


その城址と周りの空間が調(ととの)っている
ということもありますが
しかし 昼間の姿には
ご夫妻も私も
これほどの感動はありませんでした



その日はなぜか 月が気になり 幾度も見上げては
満月までもう少し と思っていたのが
自分でも不思議で

戻って調べてみると 「十三夜」


もしかしたら 昨夜の光景は
“後の月”の ひとよの夢 だったのかもしれません


その夢は
日本にしかない“無双”の町並み
の可能性を
示してくれたような気がしています