古層
尾鷲の森を訪ねた翌日
紀伊半島を南下していく途中で
思いがけず
数年前に訪れて とても気に入っていた場所を
再訪することができました
社はなく
ご神体 あるいは 磐座 とされる
岩だけの空間
数年前も 今回も
御嶽の空気を
強烈に感じます
その後
紀伊半島を更に南下するに従って
車窓の景色が
私には
沖縄の景色と重なってゆき…
特に
斎場御嶽へ向かう途中と久高島の
海岸の風景を思い出したのでした
沖縄のクマヤ洞窟のクマヤとは
「籠る」「隠れる」という意味があると聞いたとき
クマヤ
は
熊野
とも
記すことができるなぁ
と
思ったものです
いのちのあかし
愛だけを 残せ
壊れない愛を
激流のような時のなかで
愛だけを 残せ
名さえも残さず
いのちの証に
愛だけを 残せ
<中島みゆきさん「愛だけを残せ」より>
にっぽんのキ
山塩
昨日の記事から 温泉つながり ということで
「山塩」
を
思い出しました
山の塩 という名から 岩塩を連想されるかもしれませんが
山塩は
古代に海水をしみ込ませた岩盤から湧き出る弱食塩泉を
煮詰めてできたもの
海のない山間の会津の地では古くから作られていたのが
一時途絶えていたのを
最近復活させたのだそうです
甘みがあって やわらかくて やさしくて
角のない まぁるい味
いま自宅には 加熱用の塩の他に
この山塩と
宮古島の海塩と
スロヴェニアの海塩があり、
サラダなど 塩の味が重要なポイントを占めるものには
そのときの身体が求めるものに合わせて
手が選んだものを使っています
山塩を知った今年の夏以降
山塩の使用頻度は
ダントツです
長野県の大鹿村でも
山塩が作られているようで
もしかしたら他にも産地があるのかもしれません
オベチャライズ
先日たまたま目にした このページ
ロボットと温泉
という
私にとっては新鮮な組み合わせが
私のツボにはまってしまいました
(それが何のツボなのかは いまだもって不明なのですが…)
この写真の下には次のような説明が書かれてあります
*
戦国時代に作られた「機動甲冑」は
現代の科学でも解明できない、スゴイ技術が満載されている。
そのひとつが自己修復機能・オベチャライズだ。
これは、温泉に浸かってその成分を吸収することによって
敵から受けたダメージを直してしまうという驚くべきものだ。
しかも温泉の種類によって
「防御力UP」「すばやさUP」など
様々なステータス変化が起こるのだから、
その可能性は計り知れない。
*
この六文戦士ウェイダーの甲冑は
真田の赤備え が モチーフとなっています
「赤備え」というものを知ったのは
今夏の彦根 でのことでした
(そういえば彦根市のキャラクター“ひこにゃん”も 赤備えの兜をかぶっていますね)
それはさておき
ウェイダーでなくとも 温泉はダメージ修復に計り知れない可能性を秘めている
と思っている私には
オベチャライズという言葉もまた
妙にツボにはまるものなのでした
地球のマグマの熱によって暖められた
地球内部の水が
圧力という気のはたらきによって
地殻の鉱物の間を押し上げられ
地上にわき出すのが温泉
かつて世界を構成するとされていた四大元素や五大元素が
「温泉」なる ひとつの状態 に包含されていて
文字通り
地球の賜物であり
地球のエネルギーが凝縮したもの
と言えそうです
ウェイダーに導かれ(たのかどうはか知りませんが)
たどり着いた温泉のお湯のはたらきは抜群で、
ただ 一泊という滞在時間の短さ故に
ダメージの完全修復までには至らず
ダメージが一気に浮上し
その夜は
横になった瞬間に
深い眠りに落ちていました
オベチャライズ
おそるべし
@下の図版は「六文戦士ウェイダープロジェクト」のブログよりお借りしました
いのちのはじまり
天明3年(1783年)の浅間山大噴火のときの溶岩から
小さないのちが芽吹いているのを見て
数年前に歩いた
キラウエアのクレーターを思い出しました
世界で最も活発に活動しているといわれるキラウエア火山では
あらたな地殻が生み出し続けられています
まるで他の惑星のように思える 荒々しい溶岩の平原に
ぽつりぽつりと
地衣類や苔類やシダ類などが生きていて、
こうやって地球の大地は はじまりのいのちを宿し
長いときをかけて つくられてきたのだ
と
踏みしめる足元の大地に
自らの存在の礎を感じながら
足を進めていったことを思い出します
写真のなかの
白っぽい部分や黒ずんでいる部分は
たぶん地衣類かと思われます
以前 地域の植物観察会で
地衣類をいう存在を知って以来
それまでは単なるヨゴレとしか思っていなかった そのものに
興味を覚えるようになりました
私たちのいのちは
様々な 多くの ちいさきものたちの存在によって
支えられているのですね
【地衣類】
菌類(主に子嚢菌類)と藻類(シアノバクテリアあるいは緑藻)からなる共生生物
菌糸でつくられた構造の内部に藻類が共生しており 藻類の光合成産物によって菌類が生活するもの
(ウィキペディアより)
生きている樹
ある城址公園で出逢った樹
トカゲやイグアナや恐竜などの爬虫類に見えるのですが…
カンブリア爆発期にこういう動物がいました、
と言われたら納得してしまいそうです
(納得しませんね… 笑)
門前の猫
門前の猫
と言えば
井伊直孝公を招き入れたとされる
豪徳寺の猫が
思い浮かびます
その伝説故に
招き猫発祥の地とされる
豪徳寺は
井伊家の菩提寺であり、
桜田門外の変で討たれた井伊直弼公のお墓も
その地にあります
今夏 二度目の訪問となる彦根で
いろいろとお話を伺うなかで
井伊直弼公のイメージが一新しました
(単に私が何も知らなかった というだけのことなのですが…)
明治維新の開国は
きっと
直弼公の描いた開国とは
まったく違うものだったのだと思います
ほんとうのかいこく
これからですね
後の月
それは ある城下町での 昨夜のこと
日中のイベントでご一緒したご夫妻の車に乗せていただき
懇親会の会場へ向かっていたところ…
間違って入り込んだ道は
お堀に囲まれた城内へと続いており
私たちは思いがけず
品よくライトアップされた
「異国のような日本の風景」に出逢ったのでした
自然石の形をそのまま活かして丁寧に積み上げた石垣と樹々の陰影
暖色の灯にゆれる 滑らかな水面
透明な空気感と静けさ
のびやかな広がりを持った 城趾一帯の空間
見上げると ちょうど雲の切れ間から 満月には少し足りない月が姿を現しました
それは できすぎたほどの 完璧な 風景
まるで別世界に足を踏み入れたかのようです
「日本じゃないみたい…」
とつぶやく私に
ご主人が頷きながら
「でも日本にしかない風景だよね」
と言い
「こんなきれいなお城は 今まで見たことがない」
と感嘆されました
その城址と周りの空間が調(ととの)っている
ということもありますが
しかし 昼間の姿には
ご夫妻も私も
これほどの感動はありませんでした
その日はなぜか 月が気になり 幾度も見上げては
満月までもう少し と思っていたのが
自分でも不思議で
戻って調べてみると 「十三夜」
もしかしたら 昨夜の光景は
“後の月”の ひとよの夢 だったのかもしれません
その夢は
日本にしかない“無双”の町並み
の可能性を
示してくれたような気がしています
果実という宝石
届いたばかりの 自然栽培のぶどう
封を開けると
輝くばかりの実に
目が奪われました
まるで 宝石のよう…
そう感じた私は
以前聞いた
あるワインにまつわる「物語」を思い出しました
*
その昔
まだワインというものが無い時代
ある狩人が彼女のために狩りをしていると
一粒のぶどうの実が落ちてきました
熟してちょうど発酵していたそのぶどうを 持ち帰り、
彼女にプレゼントすると あまりの美味しさに 彼女は大喜び
「この宝石のような果物を持ってきて」
と
彼にお願いしたのです
それがこの世におけるワインの始まりでした
*
そんな物語を“再現”するためにつくられたワインは
私のお気に入りの一本
20年以上のリッボラの樹から実を手で摘み
土の中にあるバリックに
収穫後2時間以内のぶどうを
潰すことなく
丸い粒のまま並べて 自然な発酵にゆだね
8ヶ月後の満月のころ
二酸化硫黄も加えず
ノンフィルターで瓶詰めしてから
その後4ヶ月間寝かせるそうです
もしかしたら
そのワイナリーのオーナーの夢想は
正しいのかもしれないと
思わせてしまう
目の前の ロザリオ・ビアンコ
試しに
大振りの一房を
土ものの器の中で
発酵させてみることにしました
もちろん
つぶさず まぁるい粒のまま
ならべて
熟してちょうど発酵していたそのぶどうを 持ち帰り、
彼女にプレゼントすると あまりの美味しさに 彼女は大喜び
「この宝石のような果物を持ってきて」
と
彼にお願いしたのです
それがこの世におけるワインの始まりでした
*
そんな物語を“再現”するためにつくられたワインは
私のお気に入りの一本
20年以上のリッボラの樹から実を手で摘み
土の中にあるバリックに
収穫後2時間以内のぶどうを
潰すことなく
丸い粒のまま並べて 自然な発酵にゆだね
8ヶ月後の満月のころ
二酸化硫黄も加えず
ノンフィルターで瓶詰めしてから
その後4ヶ月間寝かせるそうです
もしかしたら
そのワイナリーのオーナーの夢想は
正しいのかもしれないと
思わせてしまう
目の前の ロザリオ・ビアンコ
試しに
大振りの一房を
土ものの器の中で
発酵させてみることにしました
もちろん
つぶさず まぁるい粒のまま
ならべて
べに
数年前に やっと
使うことができる口紅に出逢いました。
紅花の花弁に含まれるわずかな紅色の色素を
丹念に抽出したもの。
かつて 女性の口元を彩った 紅 です。
紅花の色素を用い 現在の口紅の形にしたものを 求めたことがありますが
やはり ケミカルな不自然さが口の中に広がり
使うことはできませんでした。
中近東・エジプトが原産地といわれる紅花は
女性の身体に良い成分があるとされ
染めに留まらず
一種の薬として用いられてきたようです。
板に引かれた紅の 玉虫色に
水を含ませた筆を そっ と 置くと
鮮やかな赤が現われる その変化(へんげ)は
見飽きることがなく
使うたびに こころがときめきます。
使って良し
身体に入れて良し
さらに
使って ときめく
なんと合理的な品だろうと
つくづく
感嘆するのでした。
人によって
体調によって
赤の発色が変わるのも
まるで 生き物 のようで
おもしろいものです
そういえば
自然な香水も
人によって 体調によって
香りが変わりますね