べに
数年前に やっと
使うことができる口紅に出逢いました。
紅花の花弁に含まれるわずかな紅色の色素を
丹念に抽出したもの。
かつて 女性の口元を彩った 紅 です。
紅花の色素を用い 現在の口紅の形にしたものを 求めたことがありますが
やはり ケミカルな不自然さが口の中に広がり
使うことはできませんでした。
中近東・エジプトが原産地といわれる紅花は
女性の身体に良い成分があるとされ
染めに留まらず
一種の薬として用いられてきたようです。
板に引かれた紅の 玉虫色に
水を含ませた筆を そっ と 置くと
鮮やかな赤が現われる その変化(へんげ)は
見飽きることがなく
使うたびに こころがときめきます。
使って良し
身体に入れて良し
さらに
使って ときめく
なんと合理的な品だろうと
つくづく
感嘆するのでした。
人によって
体調によって
赤の発色が変わるのも
まるで 生き物 のようで
おもしろいものです
そういえば
自然な香水も
人によって 体調によって
香りが変わりますね