天平の地平
山口へ行く
飛行機のなかで
機内誌を ぱらぱら と めくっていたら
一枚の写真に
目が釘付けになりました
その航空会社の
来年のカレンダーの12月の写真
右下に小さく
金銅唐花文碗/東京国立博物館蔵
と
記されています
持ち帰り自由のその雑誌を
宿へ運び
写真のページだけを破って
ファイルに収め
自宅まで
調べてみると
国宝
で
8世紀のもの
であることが
わかりました
8世紀といえば奈良時代
天平文化が栄えた頃です
私の
ごく限られた経験に基づいて言うなら、
天平時代のものは
初々しくて
伸びやかで
創作のよろこびや
いのちの勢い
ようなものが
感じられ
見ているだけで
楽しく 清々しい 気持ちになります
飛鳥時代の
大陸や半島の匂いが薄れ
この国の風土と溶け合った
あたらしい かたち
が
うまれている最中の
雰囲気が
そのまま
写し取られたかのようです
この碗が
どこで作られたのかはわかりませんが
(上記の理由から 日本国内だと推察するのですが…)
それが
日本であれ
唐であれ
違う文化が混じり合う
いぶきのような
自由な空気が
伝わってきます
異なるものが
出逢い
触発しあい
あらたなものをうみだす
天平の地平の精神を
受け継いでいけたら
と
思うのです