おりおりに 出逢った      「すきなもの」を      縦横無尽に ご紹介
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きせき




「あんたが奇跡になるんやで」




今日再放送された
NHK連続テレビ小説『カーネーション』の中の台詞です


病院でファッションショーを行なうことになった 主人公の糸子。
看護婦と軽い症状の患者さんからモデルを選び
準備を進めているとき
末期がん患者の女性が
モデルとして新たに加わることになりました。


病気になってから
自分のあわれな姿しか見せていない
二人の子どものために
との思いに、
重い患者さんからモデルは選ばない
と言っていた総婦長の心も
動いたようです


彼女の気持ちを聞いたあと
糸子がしゃべった下記の台詞の最後に
冒頭の言葉が出てきます



この場面を見終えて、
高齢でなくても
大病でなくても
人それぞれ 誰とも比べることの出来ない人生を生きている
格好わるくても 自分の状況に向き合って 懸命に生きている
そのことこそが 奇跡 のように思えました



奇跡とは
誰かが起こすものではなく
自分で自分に起こすもの
なのかもしれません







うちは いま 八十八や

あんた そら 八十八も たいがいなもんなんやで

カラダは あちこち 弱るしな
杖ないと 歩けんし
いつ死んでもおかしない年よって
いつおうても 娘らの顔には まず
「心配」「大丈夫なんか おかあちゃん」て 書いちゃある


ほんでもなぁ 八十五越えた辺りかいな
ごっついええこと 気づいたんや


年とるっちゅうことはなぁ
奇跡を見せる資格がつくっちゅうことなんや
例えば 若い子が元気に走り回ってたかて なぁーんもびっくりせえへんけど
百歳が走り回ってたら ほら こんだけで奇跡やろ


うちもなぁ 八十八になって
いまだに 仕事も遊びもやりたい放題や
好き勝手やってるだけやのに 人がえらいよろこぶんよ


老いることが怖ない人間なんて いてへん
年とったら ヨボヨボなって 病気なって 孤独になる
けど そのうち もう たいしたことせんでも
ウナギ食べたり酒飲んだりするだけで
人の役に立てるんや
ええ立場やろ



ほんでな あんたかて そうなんやで
わろてみ
「にー」って


ほれ ほんでもう奇跡や
末期がん患者がわろたんや

みんな末期がんなんかになったら もう二度と笑えへん 思てんねん
あんたが笑うだけで
ごっつい奇跡を人に見せられる

あんたが ぴっかぴかにおしゃれして
ステージを幸せそうに歩く
それだけで どんだけの人を勇気づけられるか 希望を与えられるか


いま自分はそういう資格… いや こらもう役目やな
役目を持ってるっちゅうことをよう考えとき



(略)



あんたが奇跡になるんやで