風の花
ギリシア語で「風」を意味する
Άνεμος(anemos)
に
その名が由来する
アネモネ
暖かい風に促されて開花し
強い風によって花が散り
長い毛を持つ種が
風に乗って運ばれることから
そう呼ばれているようです
寂しい冬の庭に彩りを
と思って植えた
三色のアネモネ
花言葉は
赤は 「君を愛す」
白は 「真実」「期待」「希望」
紫は 「あなたを信じて待つ」
であることを
後から調べて知りました
*
このアネモネ
アルメニアの国花なのだそうです
アルメニア人は
自らを ハイ(Hay/複数形はハイクHayk)
国を ハヤスタン(Hayastan)と呼び、
正式名称も
ハヤスタニ・ハンラペトゥテューン(Hayastani Hamrapetut'yun)
となります
アルメニアの始祖であり ハイ族の長である
ハイク・ナハペトは、
箱舟がたどり着いたアララト山の麓に住んだ
ノアの玄孫
とのこと
通説では
301年に世界で初めてキリスト教を国教としたのが
アルメニアです
ハイク/アルメニア人
は
「12世紀にアルメニア王国や東ローマ帝国が衰退・崩壊した後は
世界中に拡散し
商工業の担い手として各地にネットワークを広げてき活躍した」
(Wikipediaより引用)
そうで
アルメニア人の7割は国外在住とも言われ、
そんなディアスポラの民に
風の花「アネモネ」
は
ふさわしい
と
言えるのかもしれません
軍事と商業に長けていたとされる
ハイク/アルメニア人
その花は
これから
どんな風にのって
この地球に
広がっていくのでしょうか
…と そんなことを書いていたら
中島みゆみさんの
『EAST ASIA』
を
思い出しました
*
降りしきる雨は霞み 地平は空まで
旅人一人歩いてゆく 星をたずねて
どこにでも住む鳩のように 地を這いながら
誰とでもきっと 合わせて生きてゆくことができる
でも心は誰のもの
心はあの人のもの
大きな力にいつも従わされても
私の心は笑っている
こんな力だけで 心まで縛れはしない
(略)
モンスーンに抱かれて 柳は揺れる
その枝を編んだゆりかごで 悲しみ揺らそう
どこにでもゆく柳絮[りゅうじょ]に姿を変えて
どんな大地でも きっと生きてゆくことができる
でも心は帰りゆく
心はあの人のもと
山より高い壁が築きあげられても
柔らかな風は 笑って越えてゆく
力だけで 心まで縛れはしない
(略)
世界の場所を教える地図は
誰でも 自分が真ん中だと言い張る
私のくにを どこかに乗せて
地球は
くすくす笑いながら
回ってゆく
<『EAST ASIA』より>
*
この曲が歌われた
1992年の夜会VOL.4「金環蝕」
は
古事記の「天岩戸」をモチーフにした
日本女性の原点がテーマ
と
Wikipediaには記されています
「アメノウズメノミコトという
歌と踊りをつかさどる女神が
日本神話に出てくるんですけれど、
だいたい神話に登場するキャラクターというのは
後の世の人間にも多かれ少なかれある いろんな要素の
極端な形だと思えるんです。
ならば
アメノウズメノミコトは
いま いったい どこにいるのだろうかと、
それがこの夜会のテーマになりました。
そして もう一つ。
天岩戸伝説の中で
アマテラスオオミカミが
暴力に嘆いて抵抗したはずなのに
結局 暴力でまた王座に連れ戻されてしまう
というストーリーが
私としてはどうも納得いかなくて
気にかかっていたので、
アマテラスオオミカミの気持ちは
いったいどうなったんだろうと、
そこのところに
目を向けたいと思いました。」
(あるテレビ番組の中での 中島みゆきさんの言葉より)
*
日本神話に描かれるアマテラスオオミカミは
ダミーで、
暴力を嘆いた
本当のアマテラスは
力づくで引き出されることなく
傷ついたまま
いたみつつ
いま このときも
それぞれの人の
イワトの奥深く
隠れているように思えます
やわらかな風にのって
彼女が
花ひらき
世界に広がっていきますように