大地として
©Haruo Ohara / Institute Moreira Salles Collections
<こちらのサイトよりお借りしました>
私が
大原治雄という日系移民の写真家を知ったのは、
ブラジルと日本の国交樹立120年を記念した
日系移民がテーマの番組でのことでした
その番組で紹介された彼の写真の中で
最も惹かれたのが
冒頭の写真です
<朝の雲、1952年、パラナ州テラ・ボア>
先日放送された「日曜美術館」によれば、
冷害で農場のコーヒーが全滅するという困難を乗り越えた時期に
撮られたもののようです
大原さんの写真は
私に
農業を営みながら絵を描き続けた
常田健さんの絵を思い起こさせます
人間の営みが
自然の一部であることを知り抜き
文字通り
大地と共に生きている者の
おおらかさ
そしてそれゆえの
たくましさ
のようなものを
感じます
桜の頃に帰国したかったという大原さん
亡くなる年には「さくらさくら」を
よく聴き口ずさんでいたそうです
大原さんたちが開拓した土地の名が
テラ・ボア
(terra boa)
Good Land
良い土地
素晴らしい大地
彼が撮った写真や家族の話から浮かびあがる
大原さん
そのもの
の名に思えました
*
霊性は、大地を根として生きている。
萌え出る芽は天を指すが、
根は深く深く大地に食い込んでいる。
我らは大地そのものである
ということに気付くと、
ここが直ちに畢竟 浄の世界である。
考えそのものが大地になるのである。
大地そのものが考えるのである。
そしてここに日本人の
宗教的信仰的自覚があるのである。
これを日本的霊性的自覚という。
(鈴木大拙著『日本的霊性』より)