うみ から うみ へ
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建国記念日の前の日のこと
ふと思い立って
極楽寺を訪ねた後
海まで足を伸ばしました
波が強かったからでしょうか
サーファーたちが
けっこう海に出ていました
わたゆきが舞った前日とは打って変わって
すっきりとした青空が広がったその日は
相変わらずの寒さで
風は冷めたかったのですが、
ワカメを拾い集める人や
ビーチコーミングを楽しむ人など
浜辺は
予想外に
人で賑わっていて…
波打ち際で
寄せては返す波を見ていると、
はるか昔
地殻の大変動に伴って
海面が上昇と下降を繰り返すなか
波打ち際で生き抜いていた生物が
やがて
海へ還るものと
陸へ上がるものとに分かれた、
という
三木成夫さんの本に記されていた
進化の話が思い出されました
どうやら
生物は
海辺
と
森辺
で
大きな分岐を
経てきたようです
そして
その
プロセスは
私たちのカラダに
構造として
きちんと
記録されている…
キリリとした冬の空気の中
春の暖かさを抱いた陽に輝く海では
真夏のような光の下で
サーファー達が波に乗り
波打ち際には
秋の枯れ枝のような若芽の茎が打ち寄せれていて
なんだか
春夏秋冬が
ぎゅっ
と
詰まったような
その景色は、
海辺にいる私を
さまざまなところへ
運んでいきます
しかし、
南北朝のころ
この浜辺に
出入りしたであろう
人たちの面影が、
その週末に訪ねた場所の
明治維新のあとさきへと
つながっていくとは、
この時は
まだ
気づいていませんでした