おりおりに 出逢った      「すきなもの」を      縦横無尽に ご紹介
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どうき



          坂本: 我々が普段何気なくやっている動作、
              たとえばお酒を飲むときにお猪口をもって、口に持っていきますよね。
              このなかに、ものすごい力が込められている。
              腕の力を使って意図的に行うのでは到底及ばないくらいの力が、
              我々が無意識に物を動かすときには生まれている。

          竹村: なるほど、なるほど。

          坂本: すごい怪力の男に、こう腕をつかまれたとして、それを離そうと思っても
              絶対離れないですよね、向こうの方が強ければ。
              ところが、お猪口を持つような感じで自然に手をあげたとすれば、
              簡単にあがっちゃうんですよね。
              これはとても微妙な身体感覚で、普通に言うアスレティックな運動感覚とは違う。
              そういう気づきっていうのかな、自分の身体の隠れた次元、隠れた能力に気づくこと。
              それがいかに天と地につながっているか、同じ力が支配しているか、
              っていうことに気づくかどうかだと思うんです。

          竹村: 大事なのは、自分の意図で持ち上げて、自分のなかで完結するメカニズムじゃない
              ってことですよね。
              物体でも他者でも、その対象との関係のなかで、ある秩序がそこで形成される。
              その関わりが調和的にコーディネイトされ、同期していると、
              誰の力も使わない、というか自分の力を超えた力が働く。





< 『地球を聴く 3.11後をめぐる対話』 より >









自分も含めて
「どうしてこの世には大人がいないんだろう」

思い続けてきた私には、
“人類は「幼年期」を卒業できるか?”
という
帯に書かれた問いは
非常に腑に落ちるものでした